きらきらぼしと4つの話

 『きらきらぼし』に想いを馳せて…

■ カービィ ■

 星の光を宿した雲を抜け、まぁるいピンクは宇宙にふわり。満天の星空に1つ大きく輝くのは、きらきらぼしです。
「ぽよ!」
 カービィがきらきらぼしを突いて手を掛けると、きらきらぼしに寄り添った小さい星が丸いピンクの輪郭をなぞるように飛び回ります。カービィはぽよぽよくすぐったそうに身を捩り、星は笑って輝くのです。
 カービィはきらきらぼしに掴まったまま、地上を見下ろしました。
 明かりを灯した人々の営みが、暗い大地の上に星のように散らばっています。おいしいご飯の煙を纏う街の明かり、海の波とそこを泳ぐ住人達が反射する光、一人闇を横切る旅人の道標。
 今日の夜も平和そう。カービィはきらきらぼしに寄りかかって転寝しました。


■ メタナイト ■

 ハルバードから見上げる星々は、ゆっくりと流れて行きます。
 その中で一際輝くきらきらぼしは、航海士の指標。どんな遠くの宇宙でも輝く星は重要ですが、きらきらぼしは特別です。ポップスターは大きな星。遥か宇宙の彼方から目指してやってきて、出迎えるように宇宙船の前に躍り出る輝きを見ると、メタナイトはポップスターに戻ってきたと実感するのです。
 呆れる程平和なプププランドとポップスター。きらきらぼしの輝きがある限り、悪事も悪巧みもなんだかくだらない事に感じてしまうのです。
 部下達はたるみ切ってしまっています。明日の特訓はきつめのメニューにしてやるとしよう。
 メタナイトは仮面を外して満天の星空を眺めました。


■ ダークマター ■

 闇を鋭く切り取るように、夜は月と星が輝いています。
 星は太陽等の強い光に反射するものもありますが、大体は自分で光り輝いています。自分の生命を燃やすようで、暗黒物質が滅ぼすと輝きは鈍り石ころになってしまう事をダークマターは知っていました。
 ポップスターの近くでは一際輝くきらきらぼし。ダークマターは一際暗い夜空の部分から、輝く光を見下ろしました。すると星が気が付いて、ダークマターを見上げます。
『くらやみさん こんばんわ!』
 きらきらの光は、ちょっぴり尖った飛礫みたいにダークマターに飛んできました。
『きみたちの おかげで ぼくらは きらきら! ありがとう!』
 礼を言われなれない暗黒物質は、曖昧な相槌を打ちました。


■ デデデ大王 ■

 デデデ山はプププランドでは、とても高い山です。もっと寒い場所、もっと空に近い場所はありますが、プププランドの住人達が気軽に空を眺めるにはここ程良い場所はありません。
 頂上に建つデデデ城の屋上で、デデデ大王は夜空を満足そうに見上げています。そして視線を降ろせば、星空と街の明かりでまるで宇宙に立っているかのようです。
 きらきらぼしを胸に抱き、大王はこの景色を見せて笑ったものです。
『どうだ、地上の星も悪くはないだろう? 生きている様が、まるで歌みたいじゃねぇか』
 きらきらぼしが負けないぞと言いたげに、瞬いたのを大王は一瞬前の事のように思い出します。
 この輝きが陰らぬように、永久なる平和がありますように…。