『なぜダーマ神殿が大所帯になったか』について緩く考える

 おそらく、この記事を読んでいる殆どの人がタイトルにある『ダーマ神殿の大所帯化』に首を傾げると思います。

 ダーマ神殿は3・6・7・9・10に登場する転職システムを支える神殿です。規模は、転職を司る『大神官』が一名。神官的なポジションに位置する神殿関係者、警護の人(7のカシスがこれに該当する)など、神殿としての規模も決して小さいものではありません。外観の通り、一国に匹敵する人々が転職システムを支え、ダーマ神に仕えているはずです。

 しかし、10はこの比ではありません。
 10のダーマ神殿に駐在している『大神官』は、転職をストーリー・システム上では行いません。大神官のお仕事は、ダーマ神殿に所属する数多くのダーマ神官達の統括を行うことであるとみて正しいでしょう。
 では、10で転職を行なってくれるのは誰か。それは『神官』達です。しかも、『ダーマ神官』はダーマ神殿に留まらず『出張神官』として各大陸の小国・大国に派遣されています。出張神官のネーミング酷いですが(公式)、れっきとしたエリート職。多くの神官達が自分達の母国でダーマ神官として転職を司りたいと目指している場所です。
 その為、10のダーマの神殿は、過去作の神殿内のスタッフの規模に、各地に派遣されている出張神官を足した相当な大所帯になっているのです。規模的には史上最大規模。時代も問わずに出張神官制度がある為、規模の変動はややあるものの平行に推移していると思っていいと思います。

 なぜ、10のダーマ神殿が大所帯になったのか。
 まずはシステム的な要因から切り込んでいきたいと思います。
 ダーマ神殿に初めて訪れることができるのはver.2。転職システムがサービス開始直後からできたことを考えれば、遅すぎる登場となります。その為、ver.1で転職できる環境を整える必要があった。それが出張神官の始まりでありましょう。
 また、ver.1をクリアするまでに、全ての大陸や国を回る必要はありません。その為『転職をする為に特定の場所へ向かう』という縛りをできる限り少なくし、プレイヤーの自由度を上げる目的もあったと思われます。だから、ダーマ神殿の登場もver.2と遅くても問題にならなかったのです。
 さらに10独特の利便性がここに加わります。
 10の世界は広いです。ver.1の範囲なら、PS4版DQ11と同じくらいと言えたでしょうが、現在の10はDQ11を軽く凌駕しています。とにかく広い。移動さえ面倒。世界が狭くなればいいのにとか思う人も少なくない。このニーズに応えたのが、出張神官の細分化であります。つまり、『このクエスト・システムの為だけの出張神官』です。特定の職業で依頼主に会うクエストでは、そのすぐそばに出張神官がいます。特定のダンジョンでは、確率ですごく敵の強いフロアが発生する為、その敵に対応する為の出張神官っぽい存在がいます。頻繁に、ほぼ確実に転職のニーズがあるところに出張神官あり。公式の対応力は日に日に研鑽されているようです。ありがたや。

 逆になぜ、今までのDQは大神官一人で事足りたのか。おそらく転職する回数が少なくて済んだからでしょう。
 レベル1に戻る3、レベルと熟練度が別にある6・7、職業ごとにレベルが存在する9・10と、転職だけでもそれぞれのシリーズごとに違いがあります。
 転職すれば必ずレベル1に戻る3は、レベル20になるまで転職できない縛りが発生します。その為、再転職は気軽にできず、かなり綿密な計画を立ててから転職しているはずです。
 熟練度システム型の6・7は気軽に転職ができますが、レベルが別に設定されている為、この職業の熟練度を上げきってからー的な無茶が可能になります。
 9・10は転職の回数が爆発的に増えます。それぞれの職業にレベルが存在し、職業ごとに使える技や魔法、ステータスが固定された為に『転職して戦いに有利な職業で攻略する』という戦略が登場したからです。9ではダーマの悟りが登場し、ひと足早い出張神官ならぬ出張ダーマ神システムを実装しました。魔王の地図に挑む頃には、神殿を利用するのは転生の時だけになってしまうでしょう。

 DQは『職業を戦略に組み込む』というのに力を入れた結果、ダーマ神殿の大所帯化に繋がったと言えましょう。

 ですけどね、そんなロマンのない話をしたいわけじゃないのですよ。という訳で、アストルティアの内情から大所帯に切り込んで参ります。
 アストルティアは6つの大陸に、それぞれの種族が暮らしています。大陸間鉄道が走っている為、一人前の証さえ所持していれば誰でも5つの大陸を行き来することができます。一人前の証は成人して犯罪に手を染めていなければ入手できる難易度としたとしても、他種族との交流にあまり積極的ではないという風潮があります。やはり各大陸はその大陸に生きる種族が大半を占めていますし、逆に違う種族が入り込んでもそれらは旅行や見識を深める留学的なもので定住とは程遠いのが殆どです。
 ぶっちゃけ、大陸間鉄道走ってないレンダーシアにダーマ神殿があるのですが、レンダーシアに来ることが大変。
 全ての人に転職の機会を平等に与える。そんなダーマ神の導きを世に広めるべく出張神官制度が作られたと見るべきです。
 冒険者達のニーズに応え、いろんな所に出張させるダーマ神殿ありがたいです。全ての冒険者が感謝してる。
 ただ、大国メギストリスの出張神官は過労死しそうな多忙さなので、どうにかしてあげてほしい。できれば24時間運営みたいな状況もどうにかしてあげてほしい。