『不思議の魔塔』について緩く考える

 DQ10には天に届かん巨大な塔があります。その名も『不思議の魔塔』。
 錬金術とドワーフの建築技術によって完成された、DQ史上最高の階層を誇るだろう塔でありましょう。天空シリーズの天空城へ至る塔はマップ上で切れてるし、マスドラ通過できるし(システム上の都合である可能性があり(以下略)、DQ7の世界一高い塔も空飛ぶ乗り物通過できるし(システム上の都合である可能性が(以下略)、不思議な魔塔ほどの高さは備えていません。ちなみに魔塔はDQ10の空飛ぶ乗り物、飛竜でも越えることができす、ぶつかって迂回しなくてはなりません。ちなみに雲を突き抜けており、晴天の日であっても最上階を見ることはできません。
 現在は20階まで解放されているコンテンツでありますが、最終的な流れとしてはトルネコみたいに99階まで行っちゃうレベルで成長とアップデートを見越していたと思われます。
 さて、このコンテンツ、とある座談会で『爆破しちゃえばいいのに(意訳)』なんてことをユーザーに言われちゃう振るわないコンテンツであります。可哀想っちゃあ可哀想ですが、そう言われてしまう理由を緩く考えていきたいと思います。

 不思議の魔塔のシステムですが『不思議の』枕詞がつくだけあって『不思議のダンジョン』シリーズの共通点があります。
 登り始める時は必ず1階から、レベル1でスタート(5の階層で中断でき、一月の間だけ中断した層から攻略を再開できます)
 装備、アイテムの持ち込み不可。レベル1から装備できる最弱の武器防具、最低限の回復アイテムの支給があります。
 マップは毎回異なる。(ただし、構造はパターンあり)
 などなど。
 一人でも挑めるコンテンツでありますが、回復アイテムを所持できるのは人間が操作しているキャラのみとのことで初期の頃はNPCとの攻略はかなりの難易度を誇るコンテンツでありました。
 レベル1から、装備やアイテムを攻略中に補填しながら、塔を登っていく。
 まさに不思議のダンジョンシリーズを意識したコンテンツと思って良いことでしょう。
 不思議のダンジョンシリーズはローグライクゲームを家庭用ゲーム機に持ち込んだ、まさにゲームの歴史に新風を吹き込んだシステム。これが面白くないわけがない。私だってそう思います。

 しかし、『爆破しちゃえばいい(意訳)』なんて言われちゃう。
 なんかもう、開発陣が泣いちゃうんじゃないかって思います。とても、同情しちゃう。
 なぜ、そこまで言われるシステムになってしまったのか。問題点を挙げましょう。
 もともと、このコンテンツはNPCと攻略することがとても難しいレベルに設定しており、他のプレイヤーとマッチングしてプレイするスタイルを目指したコンテンツでした。しかし、ここで問題が起きます。
 一つはレベルが上がることで入手するスキルポイントを、振り分けるシステム。レベルが上がったらその都度足を止め、スキルポイントを振り分けて自分を強化する必要が生まれました。
 そしてもう一つが、補填した武器の選別作業です。不思議の魔塔ではたくさんの武具が手に入るために、新しい武器が強ければそれに装備し直さなければなりませんでした。しかも、魔塔で拾える武器には『魔法攻撃力アップ』『攻撃時○%で麻痺』『MP消費しない』などいろんな効果があり、それがランダムで付着しています。低いレベル帯の武器であっても職業によって有利な効果があった場合は高いレベルの武器は装備できないという事態が生まれました。その選別に意外に時間が取られてしまいます。
 これらシステムによって、攻略中に幾度となく手を止められてしまう。
 トントンとリズムよく進んでいたゲームの流れが、幾度となくぶつ切りにされるわけです。ゲームのリズムは快感を生む大事な要素。その要素に重要な障害が生まれてしまったわけです。
 特にマッチングでその場限りのパーティを組むことになった他プレイヤーに迷惑を掛けてはいけない等と思う善良なプレイヤーにとっては、ストレス極まりません。武器を選別しなければ足を引っ張り、スキルを振らねば弱くて足を引っ張り、選別をじっくりしていて遅れを取っていたら攻略のペースを遅らせることになる。八方塞がりとはこのことであります。
 私も実装初期の頃はオートで走りながらスキルを振ったり装備を選別していましたが、あまりにもマッチング攻略は辛くて魔塔は縁遠いコンテンツになりました。

 最近はバランスが見直され、NPCとの攻略がだいぶしやすくなりました。
 自分一人ならじっくりスキルを見直し、装備も選別できます。スキルポイントは最初から100与えられて、最初のレベル上狩りまくりでちょこちょこスキルを振る手間がなくなりました。

 でも、これでいいのか?
 だって、マッチングした見知らぬ他人や、フレンドと一緒に登って欲しいなって立ち上げたコンテンツなんですよ(たぶんね)

 というわけで、ここから先は稲野の緩く考えた内容です。
 ここで話題にあげたいのは、いかに攻略のペースがトントンと進んで、レベルが上がる快感と魔物がザクザク倒せる快感をプレイヤーに味わってもらうかです。すでに実装されたスキルポイント事前100配布はそのままでいいと思います。
 問題は武器防具の成長システム。
 個人的に、魔塔で拾える宝箱からは武器防具ではなく『武器のレベルが上がる効果』『武器に付着する効果』が出てくるといいんじゃないかって思います。
 普段は選ばない武器を選んで戦って欲しいという意図を感じるので、最初に配布される武器に関してはランダム。
 『武器のレベルが上がる(武器・体上装備など指定した方が強化屋が職を失わなくて済む)』なら『レベル1の皮の鎧がうろこの鎧にレベルが上がる』といった具合です。『武器に付着する効果』も選択でき『攻撃魔力10アップ』が出てきたら、戦士ならあえて選ばず魔法使いなら取るといった感じで攻略しながら装備を育てるシステムです。
 これなら選択の判断にそれほど時間が掛からず行けますし、もともと存在している『強化屋』や『錬金合成屋』なんかも捨てられなくて済みます。
 せっかくの不思議のダンジョンモチーフで、しかも魔物や宝の位置が現在表示されているのですから、最初から表示せず『地獄耳の巻物』や『千里眼の巻物』でわかるようにしてもいいかもしれない。魔物もあちこち移動することで探す楽しみもある(が、アストルティアの魔物は不思議のーみたいに動かないのでこれは難しいと思われる)かも。
 モンスターハウスと称して弱い魔物を30体くらいフロアに放ち、パーティ別れて各個撃破なんてのも、マッチングした甲斐を感じる演出かもしれない。
 盗賊なら落とし穴回避、道具使いのトラップジャマーでトルネコ2か3に出てきたトラップの石像をこっちのものにしちゃうとか、魔物使いのエモノ呼びや遊び人の口笛でフロアの魔物を呼び寄せるとか、持ってこれる演出ってたくさんあると思います。

 まぁ、このくらい運営が考えていないはずがないので、技術的に難しいんでしょうね。
 あーあ。魔塔、好きなんですけどねー。ソロで登っても楽しい調整になって嬉しいんですけど、やっぱ、不思議のーに愛着があるものですから、夢見ちゃいますね。
 2018/12/06